スピードを考えるには、スポーツを思い浮かべると分かりやすい。サッカーでも野球でも、世界クラスの試合では、スピードが勝敗を分ける最も重要な要因の一つだ。そして、世界一のチームには、相手を寄せ付けない“スピード感”という共通価値観が存在する。
ビジネスにおいてもスピード化はグローバルな要請である。世界がこぞって競争を繰り広げている中、日本だけが横並び意識に留まることは許されない。横並びとは、世界クラスの競争から、取り残されるリスクと隣り合わせであると理解すべきだ。規制緩和が必要な理由もそこにある。企業にとって、グローバルな環境変化のスピードに適応するための経営革新は避けて通れない命題なのだ。
しかし、経営改革というのは容易なことではない。スピード向上に対する切り札として技術革新、とりわけITへの期待は大きい(図参照)。だが、ITを導入したからといって、必ずしも企業競争力が向上するわけではない。また、経営改革にITベンダーのノウハウを活用するのは、ひとつの方法である。しかし、ベンダーにすべてを頼ったのでは、自社の経営改革のためのIT導入ではなく、IT導入のための経営改革になりかねない。
つまり、経営トップは、自社の事業モデルと文化を俯瞰的に捉えて指導力を発揮する必要がある。同時に、現場で働く人々は、自部門の変革だけでなく他部門との連携のあり方を大きく変化させなければならない。これらの大革命といえるほどの変化に耐えて成功に辿り着くためには、それこそスポーツのように、先ずは“スピード感”という価値観を全社で共有した上で、統合された動きが求められる。両者がともに強い意思で望まなければ、成功は難しいのである。
次に、私が立案に実際に関わり、経営のスピード化に成功した企業の例を見ていくことにする。 |