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WEBセミナー ITが変える企業経営
顧客満足度向上 ユーザーと良好な関係を保つIT導入のあり方とは 明治学院大学経済学部助教授 森田正隆氏
 経営や業務の効率化においてITを活用する価値は高く、急激な成長をもたらす可能性を秘めている。オンライン書籍販売やPOSの成功はその最たる例であり、IT導入を行う上で学ぶべきことが多い。しかし、技術的な問題に隠れ、そこに関わった人々の知恵や発想の部分は見過されがちである。ITと経営の本質的な課題について、森田正隆氏にお話を伺った。
POS活用とコンビニバイヤーの知恵
 コンビニエンスストア業界では、売れ筋商品と死に筋商品を見分けるのに売上データを重要視する。売れる商品だけで品揃えができるなら、売上げは確実に伸びるだろう。しかし、売れ筋商品ばかりを並べていては、コンビニエンスストアとしての魅力は低下し、顧客一人当たりの売上単価は逓減することになる。POS頼りの合理的な仕入れだけでは、店舗の売上を維持するのは難しい。
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 バイヤーは死に筋商品を排除すると同時に、どの商品を投入すべきかを決断しなければならない。売上データのない未知の商品の中からどれを選択するかには、やはり経験や知識に基づいたバイヤーとしての知恵が求められるのだ。
 IT導入の失敗例というのは、こうした人が行うべき部分を機械任せにしているケースが多い。どのような業務であっても、ITによって100%自動化するというのは困難である。
 経営において最も重要な資源は、人間の情報処理能力だということを再認識すべきだ。機械ができるところは機械化し、人でなければ対応できないところに社員の能力を集中できれば、企業価値とともに顧客の満足度も向上するはずである。
情報を活用するのは、機械ではなく、人
 IT導入の成功例として、オンライン書籍販売を行っているアマゾン・ドット・コムに注目してみたい。アマゾン・ドット・コムの成功要因としては、One-to-Oneマーケティング、豊富な品揃えと低価格販売、アフェリエイト・プログラムなどが考えられる。中でも、One-to-Oneによるきめ細かな顧客の囲い込みは、大きな要因と見ることができる。
 アマゾン・ドット・コムでは、顧客の購入履歴を元に、類似した好みを持った顧客をセグメントとして管理し、リアルタイムにレコメンデーションサービス(おすすめ商品の情報)を提供している。顧客はあたかも、その企業が自分の好みを知り尽くしているかのような印象を受け、つい買ってしまうのだ。
 実は、このエンジンには汎用的なソリューションが使われており、アマゾン・ドット・コムの成功を真似て採用した企業もあるが、同じように成功したという企業は多くはない。
 ITは業務の効率化に大きく貢献できるが、「似たような購買履歴をどのように判断するのか」「本当に売れるおすすめ商品とは何か」「そのためにシステムをどう運用すべきか」といったことには、やはり人の能力が求められるということである。
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角埜恭央氏
(もりた まさたか)明治学院大学経済学部助教授。1987年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。メーカー勤務を経て、98年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了、2001年同博士課程単位取得終了。2001年立正大学経営学部専任講師、2003年同助教授。2005年4月より現職。専攻はマネジメントシステム(経営情報)、マネジリアルエコノミクス。情報化時代の協働・分業構造に関心を持ち、消費者サイドを巻き込んだ情報価値の生産と伝播を研究してきた。具体的な研究題材は、ポケベルの普及、パソコンの購買、ホテル予約、自動車販売など。最近は、日本自動車流通研究会(代表:下川浩一法政大学名誉教授)の活動に参加し、情報化時代の購買行動とそれに対応した流通システムについての事例研究や国際比較調査などを進めている。
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