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金融危機の緊急オファリング「シーズンU」始動 先の見えない時代の“聖域なき改革”

金巻 龍一 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 GBS事業戦略コンサルティング・サービス担当 兼 IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社 戦略コンサルティング・サービス担当
戦略コンサルティングサービス担当。外資系コンサルティング会社等を経て、PwC(現IBCS)入社、現在に至る。専門領域は、企業統合、サービス事業開発、プロフェッショナル人材管理、法人営業改革。主な著書に『企業統合』『カリスマが消えた夏』(共に共著、日経BP社)がある。
――まずIBMが提唱する金融危機後のアクションの全体像についてお聞かせください。
金巻 IBMでは、ビジネスや社会をより賢く効率化し、新たな対応力を得ることで、より良い世界へと変えていくための次世代ビジョン「A Smarter Planet」を提唱しています。しかし、現在のような先が不透明な時代の中では、最終目的地にたどり着くために、今何が必要か、どのような段階を経るかという具体的なロードマップがあったほうがよいでしょう。前回の「シーズンT 緊急コスト削減オファリング」で大幅なコストダウンを提案し、世界的金融危機から脱却する道筋を描きました。結果が出るまで何ヶ月もかかる気の長い提案ではなく、最短2週間で投資効果を実感し、6カ月で革新的なコストダウンを実現するこのオファリングは、日本だけでなく世界にも広く受け入れられ、わずかな期間で大きな成果を上げています。
 しかし、ひたすらコストを削減するだけでは負のスパイラルから脱却できません。危機回避を目指した「シーズンT」の時期から、今は回復への移行期に相当する「シーズンU」に差しかかったと考えられます。ただし、回復の道のりは業界・業態によって異なるため、ステップT、ステップUといったとらえ方は不適切でしょう。あえて「シーズン」という言葉を選択したのはそのためです。
 では、新しいシーズンに移行した企業が取り組むべき課題は何か。それは「コストをかけず」「短期間で」「確実に」売り上げを伸ばすことです。
短期的かつ確実な売上増へ 緊急課題と成果に焦点
――景気判断についてさまざまな意見が取り交わされていますが、企業は成長軌道に復帰したのでしょうか。
金巻 景気が本当に底を打ったのか、本格回復へと転じたのかと聞かれると、個人的には決して楽観できない状況であると受け止めています。
 仮に底を打ったとして、これから右肩上がりに急上昇していくかもしれないし、乱高下を繰り返す可能性もあります。今はどの企業にとっても先の見えない時期である、という認識が最も正しいのです。
 では、そうした不透明な時代に目指すべき目標は何か。それは「短期的に」「確実に」売り上げを伸ばすことです。新規ビジネスモデルの確立やM&A、新商品開発など中長期的な計画をじっくり推進するのではなく、企業の「あるべき姿」を描きつつも、「今そこにある機会」を正しく認識し、短期的な成果を享受することが持続的成長につながります。
 「ビジネスパートナーとして、今、IBMはお客様に、どのような具体的な成功をご支援できるか」、不況から脱しつつある今こそ「売上回帰」、そのためのお客様へのコミットメントとしての「オファリング」──これが「ポスト金融危機 不透明時代の短期成果型アクション シーズンII」の意味するところです。
わずか3日間で問題点を抽出 異例対応のプランを策定
――その内容はどういったものでしょうか。
金巻 今のように経営環境が不透明な時期は、中長期計画への固執が戦略の柔軟性を損ねることになります。その一方で、経営環境が変わるたびに計画をリセットしていたのでは組織に混乱をもたらすばかりです。あらかじめ異例事態の存在を織り込んで複数のシナリオを作成し、異例が発生したら直ちに別の方向に転換するべきです。
 「クイックシナリオ・プランニング」という3日間のセッションは、市場予測をもとに通常計画(プランA)、楽観的計画(プランB)、悲観的計画(プランC)を策定し、状況変化に応じてそれをスイッチできるようにするためのものです。また、異例状況がすでに発生し、ギャップを即座に埋めるにはどうすればいいのかというお客様には、IBMと海外有名ビジネス・スクールが共同開発した「戦略リーダーシップフォーラム」をご紹介しています。これは、わずか3日間で、既存経営計画と現状とのギャップを埋めるための緊急アクションプランを策定するものです。
 また、IBMという事業会社自らが改革した内容をご紹介し、それをたたき台としていただきながら、お客様の改革シナリオを練り上げる「ディスカバーIBMセッション」も用意しています。これら3日間コースは、「戦略キャンプシリーズ」として、時間をかけずに利益機会とその壁を再認識いただきます。これが「緊急売上拡大」の突破口と位置づけています。
「最適化」「着眼点と発想」「組織」 3つの角度から変化に強い収益体質へ
――そうして明らかになった課題を、どのような角度から改善していくのでしょうか。
金巻 取り組みの柱は3つあります。まずは、「最適化」です。新たに巨額の投資をして大規模な改革を行うのでなく、組織、プロセス、システムの最適化により、すでに自社に存在する仕組みや情報、人材を最大限に活かして、売上機会を図るというものです。
 例えば、企業に蓄積された情報や人的資源は本当に最適に利用されているかどうか。営業管理や会議に無駄はないか。問題発見型の情報管理ができているか。お客様に接する時間は最適化されているかなど、今ある経営資源を「もったいない」という発想で見直し、利益獲得に結実させます。
 2つめに、従来にない「着眼点と発想」です。新規市場や新規顧客を開拓するには、分かってはいても突破できなかった課題を新しい発想で乗り越えなくてはなりません。インターネットを想定したグローバルブランドを確立する「Webブランディング」、中国やインド、南米など新興国市場の情報をピンポイントで提供する「Intelligence Sourcing (新興国シンクタンクサービス)」、環境関連ビジネスの開発、コールセンターの生産性向上などがこれに当たります。
 最後に、それらを推進する「組織」の強化です。Webを活用したリアルタイムの討論会「Quick Win JAM」や、マネジメント部門の意欲を引き上げ活性化する「マネジメント開発サービス」、提案型営業の実践トレーニング「セールス道場」などを通じて、環境変化に即応する強く柔軟な組織づくりを進めます。
――サービス水準を維持したまま大幅なコストダウンを果たした「シーズンT 緊急コスト削減オファリング」は世界的な支持を得ましたが、続くシーズンIIを適用することで企業はもう一度生まれ変わりそうですね。
金巻 現在、企業の多くが、金融危機対応のコスト削減で疲れていると考えています。我々の緊急オファリングの狙いは、小さくても確実な成功です。ここで生まれる改革への自信が新たな改革の機運を作り出し、Smarter Planetを実現させていくと考えています。IBMとしては、これからも多面的な発想で力を結集し、社会に貢献していく予定です。
Financial Crisis Offering 金融危機の緊急オファリング シーズンT:コスト削減
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