<プロフィール>
音楽プロデューサー・キーボーディスト 小林武史さん
Mr.Childrenをはじめ、サザンオールスターズ、大貫妙子、井上陽水等、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。1991年OORONG-SHA設立。Mr.Children、My Little Lover、レミオロメン、Salyuのマネジメント、レコーディング及びライブステージのプロデュースを行う。映画「スワロウテイル」(1996)、「リリイ・シュシュのすべて」(2001)、「メトロに乗って」(2006)等、映画音楽も多数手がける。2003年には櫻井和寿と中間法人「 ap bank」を立ち上げ、環境プロジェクトに対する融資のほか、野外音楽フェス“ap bank fes”を2005年から2回に渡って成功させる。2005年に環境と消費を考える場として“kurkku project(クルック プロジェクト)”を神宮前に立ち上げた。

そうやって行き着いたのが、環境プロジェクトに融資する「ap bank」の設立でした。Mr.Childrenの櫻井和寿と坂本龍一さんと僕の3人が、自己責任のもとで拠出したお金を元にして「ap bank」を立ち上げたわけです。
それまでもアーティストたちは、災害が起きたときや環境保護のために「エイド(AID)」と呼ばれるさまざまな資金支援活動を行ない、それは世界的な流れとなっています。でも、僕も櫻井も、もう少し個人的に、ずっと続けられることがしたかった。「ap bank」も基をたどれば、「音楽家として得た報酬を自分たちらしく社会に還元したい」という思いが出発点だったんです。もともとはCSR(企業の社会的責任)的な部分が強かったですね。
そんな「ap bank」も、今までで34件、1億1,921万641円を融資。この秋には第5期審査が始まり、32件の申し込みがありました。社会還元という思いから発した「ap bank」ですが、バングラデシュのグラミン銀行(※)みたいになれたらいいと思っています。
また、「ap bank」のフラッグシップショップとして、この春には「kurkku(クルック)」をスタートさせました。これは、快適で環境にもいい未来へシフトしていくための消費や暮らしのあり方を考えるプロジェクト。レストランやカフェ、ショップなどから成っています。スタートからまだ半年ほどなのですが、なかなかのすべり出しです。
環境のことを考える「kurkku」が「モノを販売する」ということに、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。ただ、エンターテインメントを基盤とする僕らからすれば、「魅力的なモノに惹かれる」という行動を無視したくないな、という思いもありました。「エコ」の観点からすれば、「惹かれても買わない」という選択もあります。でも、通常の暮らしのなかで、それはあまり現実的ではありません。それなら、「魅力的で買いたくなるもの」が、その人にとって快適で、なおかつ地球環境にも優しいものであればいい、と考えたわけです。それに、日常もっとも近くにある「食」や「モノ」からエコ・シフトしていくというのは、思いのある生産者の方々を支えることにもつながりますし、多くの人に届き、将来的に大きな影響を生む可能性を持っていると思います。
(※)バングラデシュのグラミン銀行とは、貧困層を対象とした世界初の小額無担保融資(マイクロ・クレジット)事業を行っている。2006年にノーベル平和賞を受賞。
自然エネルギーや省エネルギーなど、環境に関するさまざまなプロジェクトを中心に融資を行う非営利組織。音楽プロデューサーの小林武史氏、 Mr.Childrenの櫻井和寿氏、アーティストの坂本龍一氏の3名が自己責任のもと資金を出し合い、 2003年に設立された。
快適で環境にもいい未来へシフトしていくための消費や暮らしのあり方を考えるプロジェクト。自然に育った素材が楽しめるレストランとカフェ、エコとデザインをテーマにしたセレクトショップ、環境や暮らしについての本が揃うライブラリー、暮らしを気持ちよくするグリーン(植木)の5つのショップからなっている。 |